生成系 AI の業務利用ガイドラインを紹介します
こんにちは、くふうカンパニーグループである株式会社 Zaim の @unicco です。先週、発表した通り当社では ChatGPT Plus の利用料を全社員に対して補助する制度を始めました。
ここで言及していた「利用ガイドライン」に関して「どんな内容かを知りたい」という問い合わせをいくつか受けましたので、現時点のものをここで紹介しようと思います。
なお策定にあたっては DevOps に強いエンジニア(@bbz662)を中心に、情報セキュリティや危機管理対応を統括する IT 戦略室と法務担当、データサイエンティスト(@koya3to)というグループを横断したチームを作り、約 3 日で完成となりました。
生成系 AI 利用ガイドライン
現版ではマイクロソフト社が出資する OpenAI 社が提供する ChatGPT の業務利用に限って記載します。 適宜アップデートしていきます。
ChatGPT の概要
OpenAI 社が開発した人工知能チャットボットです。人間のテキストを学習し、それに基づいて新しいテキストを生成することができます。Web 上でチャット形式で使えるサービスで、ユーザーが入力した質問に対して、まるで人間のように自然な対話形式で AI が答えます。
ChatGPT の種類
ChatGPT には二つの利用方法があります。
Web ブラウザ版
Web ブラウザで ChatGPT を開いて利用する方法です。前項で示した画像がこれにあたります。
費用
無料で無制限に利用可能
入力したデータ
OpenAI 社が保持し 学習データとして利用する
漏えいリスク
第三者の ChatGPT の出力結果に現れる可能性あり
入力したデータは削除できない
API 版
API を使用してプログラム的に利用する方法です。
費用
使用量に応じて従量課金
入力したデータ
Open AI 社が 一定期間、保持した後に削除する
学習データとして利用されない
データの区分
前述の通り ChatGPT は利用方法によってデータの取り扱いが異なります。データの区分ごとに、入力して良い情報を定めています。
なお、情報区分に関わらず、サービス利用規約・プライバシーポリシー・契約関係にしたがって情報を取り扱うことを前提としています。
区分ごとのデータ例
極秘
個人情報
ユーザーの登録情報
特定の個人を識別できる履歴情報
開発関連情報
ログイン情報・アクセスキーなどの認証情報
ビジネス関連情報
営業秘密、契約上の秘密情報・機密情報
親会社との取引などの重要事実
社外秘
ユーザーから取得した情報(個人情報を含まない)
問い合わせ内容
アンケート
開発関連情報
非公開リポジトリ上のソースコードなど
公開
サービスに関する公開情報
クチコミ情報(アプリストア・Google など)
開発関連情報
公開リポジトリ上のソースコード
サイト上で誰でもアクセスできる状態の記事データ
出力した情報の取り扱い
ChatGPT を用いた出力の商用利用は禁止されていないものの、出力を利用する場合は OpenAI の利用ルールに従う必要があります。例えば、2023 年 3 月 20 日時点では以下のようなルールがあり ChatGPT の出力をユーザーに提示する場合は以下の相談窓口へ積極的に連絡してください。
OpenAI は ChatGPT の出力に著作権を主張しない
一方でコンテンツが既存の著作物からの引用や改変である場合は著作権侵害になる可能性がある
出力に商標権を侵害する可能性がある場合は適切な許可を得るか商標を削除、修正する必要がある
金融助言を提供する場合は有識者のレビューなしで情報を提示できない
消費者向けに AI の出力を使う場合は免責事項で AI を利用していることを示す必要がある
対話システムでは AI が介在していることを示す必要がある
また、ChatGPT など生成系 AI が出力する情報は必ずしも正しいとは限らず、特定の意見に偏った回答をすることがあります。レピュテーションリスクを抑えるためにも、ユーザーに対して出力をどのように提示するかについては慎重に検討する必要があります。
相談窓口
入力する情報レベルが分からない
Asana にある「生成系 AI の利用可否を確認する」というテンプレートにて、担当者に判断を仰いでください。
誤って重要な情報を入力してしまった
すみやかに上長にご連絡ください。
ChatGPT plugins の発表など先週から今週にかけても大きく生成系 AI の状況は変わっていますので、あくまでも上記は 2023 年 3 月 24 日時点の内容となります。社内でも日々アップデートしていく予定です。